武士の一分
藤沢周平原作映画シリーズのファンです。
「たそがれ清兵衛」とか「隠し剣鬼の爪」とか。
原作を読むと毎度キャストには違和感があるものの、前2作は結果的にOK。
しかし今回はどうしても食指が動きませんでした。
別に木村拓哉毛嫌いしてるわけじゃないんですよ。
ただ、あの人が名もない田舎の下級武士を演じることは難しいと思ったまでで。
しかし、ある日偶然山田洋二のインタビューを読んだんですよね。
それには「剣術の稽古シーンを撮影したあと、私はこの役を彼にしたことが間違いではなかったと確信した」と書いてあったんです。
ふ〜ん。
彼は剣道部出身ですよね。
じゃ、その山田絶賛シーンを確認させていただこうじゃないの。
そう思って見に行きました。
映画としては面白かったです。
感動はしませんでしたが。
このシリーズって全部作者の故郷、山形の小藩が舞台なんですよね。
で、必ず主人公はヒラの下級武士で、その剣一つで理不尽なことに立ち向かう、ってのが基本。
キムタクは髷が案外似合うんですが、あの顔だとスッキリしちゃって、とても下級武士には見えなかったです。
どこぞのボンボンって感じ。
だいぶ押さえてはいたものの、時代劇だろうが、山形弁だろうが、例の「オレ流自然体演技」は同じだし。
しかし、山田監督が言ってた剣術の稽古シーンは確かに圧巻でした。
あれは相当やってないと無理な素振りだったと思います。
私が今回びっくりしたのは妻役の女優でした。
初めて見る女優なんですが、立ち居振る舞いが時代劇から全く浮かず、びっくりするくらい着物が似合う。
武士は武士でも貧乏武士なんで、着てるものは絹物じゃなくて木綿なんですが、物凄い体にピッタリなんです。
特にお尻の色っぽさといったら唖然としてしまったくらいで。
わしゃ変態か。
壇れい、っていう名前なんで「壇ふみの姪なのかな?」と単純に考えましたが、全く血縁関係はなく。
ヅカ出身だそうですね。
道理で作法が身についてるはずです。
他にも沢山いい役者が揃ってました。
カバーしてあまりある、って感じですかね。
まず桃井かおり。
私が日本で最も好きな女優ですが、最近はあんまりいいと思ってなかったんです。
けど木村サンの親戚(原作では従姉妹)で、でしゃばりで無神経な女を演じた今回は、もう出てくるだけで爆笑を誘うほど素晴らしいコメディエンヌっぷりでした。
往年の「幸福の黄色いハンカチ」を思い出したほどです。
そして木村サンと果たし合いをする、仇役の坂東八十助。
あれ?今名前違いましたっけ?三津伍郎とかでした?
ま、旧八十助です。
とにかく憎らしくって、いやらしくって、迫力あって、立ち居振る舞いが美しかった。
歳とって、中年ぽいギラギラがでたためか、「この人って素もこんくらい嫌な奴に見える」と思うほど。
逆に残念だったのは緒形拳。
私が日本で最も好きな俳優ですが。
今回わざわざ出る必要あったのかな?ってくらい無駄なシーンだったと思います。
木村サンの剣の師匠なんですがね。
本人もなんつーか、手抜きっつーか、そういう解釈なんだろうけど軽すぎでした。
ストーリー的には原作も映画も、何が「武士の一分」であるか、それを理解するのが非常に難しいです。
要するに、意地を通す、オトシマエをつける、ってのは解りますが、それに対して共感を持つのが私には難しかったです。
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