一人ぼっちの新人賞(3)
前章では意味深な終わり方してしまいましたが、「KBS演技大賞のすべて -番外編-」としてお楽しみください。
楽しかった演技大賞観覧もついに終了し、客席からどんどん人が帰りはじめました。
それとは逆行して私たちは前の方に駆け寄ります。
いや、最後にできるだけ近くでドンワンを見たかったんですよ。
ま、”ちゃんじょちゃん”たちがそうしてたんで真似したまでの話なんですけどね・・・。
ドンワンは”ちゃんじょちゃん”たちに笑顔で手を振ってステージから消えていきました。
「( ´ー`)フゥー...」
これで、やっと本当に終わったんだ・・・と思い、出口に向かって踵を返したのですが、”ちゃんじょちゃん”たちが死に物狂いで猛ダッシュして追い越していきました。
「???」
早く出てタクシーでもつかまえるんかな?などと暢気に思っていました。
もう人もまばらになった会場の通路には、”ちゃんじょちゃん”が手に持っていた例のオレンジ色の風船がポツンと落ちていました。
「祭りのあと・・・・ってカンジだなァ・・・」
ちょっとセンチになって、私はそれを拾い上げ持ち帰ることにしました。
KBSの建物から外に出たとき、向こうの方から「キャーーーーーーーーーーッ」という歓声がきこえてきました。
「(゚Д゚≡゚Д゚)エッナニナニ? 」
ここでようやく気づいたのです。
”ちゃんじょちゃん”たちが「出待ち」していたことに。
(遅せーよ)
もちろん、こうなったら私たちも迷わずGoです。
KBSの裏口には、”ちゃんじょちゃん”たちではなく、各々ご贔屓のスターを待っている人たちが群れていました。
「なるほど・・・出待ちってこういうもんなのかァ・・・」
私たちはドンワンが去ってから、そんなにノンビリ歩いてきたわけではなかったのですが、もしかしてドンワンは既に帰ってしまったあとなのかもしれません。
けれど、ここにプロ集団の”ちゃんじょちゃん”たちがいる限り大丈夫。
私たちは次から次に出てくるスターには目もくれず、ひたすら待ちました。
すると・・・・・・
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
ドンワンが授賞式の衣装のまま出てきてあっという間に取材陣のフラッシュにつつまれます。
「うぉぉぉぉぉ」
肉眼ではほぼ「見る」ことができなかった私なので、この「出待ち」作戦でようやく「見た」感を得られたわけです。
これだけでも充分満足だったんですが、”ちゃんじょちゃん”数名と私たちはそのままドンワンが車に乗り込むところまで一緒に歩いたんですよ。
ここが日本との違いかもしれませんが。
ガードマンとか全然厳しくなかったんです。
ドンワンは車に向かう途中、歩きながらテレビの取材を受けていました。
スラリと背の高いレポーターに質問されては答える、というのを繰り返しながら歩いていたわけです。
照明がたかれ、カメラマンのためにややスピードを下げ気味で歩いてくれてるので、私たちはそれにやすやすと付いていきました。
ほぼ2mくらい離れたドンワンの横顔を見ながら一緒に歩いていったんですよ。
この時は、あまりの出来事というかラッキーさ加減に顔がニヤけっぱなしでした。
友人が「誰か!カメラ!カメラ!」と言ってくれましたが、この瞬間をレンズ越しに見るなんてもったいない。
記録に残す、というよりもしっかりと自分の胸に刻み付けたい。
私は嬉しさのあまり歯茎を丸出しにして笑って笑って行進していました。
一緒に歩いている”ちゃんじょちゃん”はさすがプロなんですよね。
ドンワンの後ろにスタンバって、例の横断幕をずーーーっと掲げながら歩いてるんですよ。
つまり、その位置にいればカメラに収まるわけです。
そうすれば、ファンが応援にきていることもわかるわけでしょう?
放送を見たドンワン本人にも、全国の皆さんにも、ネットで映像を見た日本のファンにも。
携帯で実況をしている”ちゃんじょちゃん”もいましたっけね。
やがて、事務所の車のところまで来てしまい、ドンワンは乗り込み、スモークガラスで彼は見えなくなりました。
けれど、”ちゃんじょちゃん”も日本から駆けつけた4人組も一生懸命手を振り続けます。
声にこそ出せませんが、「ドンワーーーーン!おめでとーーーー!」という気持ちをこめて、腕がちぎれんばかりに手を振りました。
車が走り去った後も、テンションがあがっている”ちゃんじょちゃん”たち&私たちは車に向かって手を振り続けました。
すると!
車の中からドンワンの声が聞こえてきたのです。
それは拡声器のようなマイク越しのドンワンの声でした。
もちろん、何を言っているのかはわかりませんよ?
でも、きっとドンワンは”ちゃんじょちゃん”たちに向けてメッセージを贈ったのでしょうね。
「今日はどうもありがとう。気をつけて帰れよ~」
そんなカンジでしょうか。
もちろん、”ちゃんじょちゃん”たちは大フィーバーです。
私たちも感動しました。
後日、友人とも話したのですが、あのKBSに出演したスターの中で日本から駆けつけたファンがいたのはドンワンくらいのもんでしょう。
彼はそれを一生知ることはないでしょうが、それでもいいのです。
この夜のことは私たちにとって一生忘れられない思い出になりました。
この頃で夜中の2:00を過ぎていました。
元旦です。
深夜です。
異国です。
気持ちは熱いのですが、死ぬほど寒いです。
帰りは旅行社のお迎えはなく、各自それぞれでホテルに帰ることになっていました。
それを知ったときは「それって・・・どうなの?」と思いましたが、今思えばそうだったからこそ、最後にドンワンに会えたわけですから、ラッキーでした。
本当にこんな調子で今回の旅行は悪いことが結果全て良いことに見事に転換されてっちゃうんですよね。
ホント不思議。
大きな通りに出てはみたもののタクシーはなかなか通りません。
地元らしき人の後をついていったりして、ようやくタクシーがつかまりました。
その頃には体が寒くて寒くてブルブルしてましたが、気持ちが幸せでいっぱいなので、顔は終始笑っていました。
日付は元旦になっていましたが、こうして私たちの長い長い大晦日は、予想をはるかに超えた喜びの瞬間でめでたくフィナーレとなったのでした。
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